第37回世界食料安全保障委員会(CFS)の参加報告会を開催しました
10月17日から22日にローマのFAO本部にて、第37回世界食料安全保障委員会(Committee on World Food Security、CFS)が開催されました。 CFSは1970年代の食料危機を受け、世界の食料安全保障に関する政策のレビューとフォローアップを行う国連システムのフォーラムを担う国際組織として、設立されたものです。 前年の第36回会合から、市民社会組織、民間セクターなど幅広い関係者が参加する開かれたフォーラムとなりましたが、今回の会合についても、加盟国代表団のほか、市民社会組織/NGOが市民社会メカニズム(Civil Society Mechanism、CSM)として初めて参加しました。 今回、ゼロ・ハンガー・ネットワーク・ジャパンのメンバー団体より、当該委員会にオブザーバーとして出席した(特活)ハンガー・フリー・ワールドの儘田氏およびFAO日本事務所副代表の松田氏から、11月15日にJICA地球ひろばにて当該委員会の概要についてご報告いただきましたので、その模様をお伝えいたします。
始めに、松田氏より世界における食料不安の現状およびCFSの概要について説明がありました。 食料価格の不安定性は、10月10日に発表された「世界の食料不安の現状2011年報告」の主要テーマとなっており、今回CFSにおける重要な議題の一つでもありました。2008年以降に顕著となった食料価格の高騰について、食料の輸入依存度が高い国、特にアフリカの小国には深刻な影響を与え、栄養不足人口の増加がもたらされました。今後も人口増加や農産物市場とエネルギー市場の関連性の強まりなど様々な要因で、高値継続が見込まれる食料価格への対処法として、農業への投資拡大や市場の透明性確保、食料備蓄を始めとするセーフティーネットの整備などが議論されました。
CFSの組織体制については、FAOの委員会の一つであると同時に、特に第35回会合(2009年10月)で採択された改革案以降幅広いステークホルダーに対しオープンな協議の場としての性格を強め、農業、食料安全保障、栄養のための世界的なパートナーシップの中核として位置付けられています。 今回CFS全体の参加者には114の加盟国代表に匹敵する、82の市民社会組織/NGO、31の民間セクター/慈善団体が含まれるなど、その範囲は拡大しています。
今回CFSの議論の焦点は、上述の食料価格の不安定性に対する対処方針に加え、土地の権利に関する任意ガイドライン、ジェンダー・食料安全保障と栄養、小規模農家に配慮した農業投資などでした。 また、今後の具体的な取り組み事項として、食料安全保障対策のマッピングツールの開発や、飢餓人口推計方法のレビューの実施、農業市場情報システム(AMIS)構築に対する支援など、飢餓・栄養不良問題に対するコミットメントが打ち出されました。
次に、儘田氏よりNGOの視点から考察したCFSが紹介されました。 CSMの導入により、市民社会組織/NGOや民間セクターがオブザーバーとしてではなく、対等なメンバーとして参加できるようになった点を評価し、実際に会議の進行では各出席者に対し平等な発言機会が与えられ、非常に進歩的な議論の場を実感したという感想が述べられました。その一方で、今回の重要な議題の一つであった食料価格の不安定性など、話題が広範囲に及ぶ議論を収束させる段階では、その手法にまだまだ課題が残っている様でした。 実際に、最終日には、CSMメンバーより交渉のプロセスについて今後の改善が強く求められる場面があったりと、マルチステークホルダーによるコンセンサスの取り方には引き続き検討が必要なようです。
また、今回CFSでの決定が予定されていた土地の権利に関する任意ガイドラインが、直前の議論において全文の合意に至らず延期されたことについて、急速に進む農地収奪の問題に対してアクションが遅れていることへの懸念が示されました。 CSMが提起する問題に対し、CFSとして如何に迅速な検証・行動へとつなげていくかが今後の課題となりそうです。
この他に、今回CFSからの気づきとして、食料は「安全で栄養のある」ことが大前提として議論されていたことや、「食料ロス・廃棄」「アクセス」「サプライチェーン」など、先進国・途上国の区別なく議論すべき課題が取り上げられていた点を挙げました。 世界各国の様々な機関・団体から代表が集まるCFSの場で、特にゼロ・ハンガー・ネットワーク・ジャパンの活動強化の一環としても、海外アライアンスとの積極的な情報交換や連携に必要性を感じた、との言葉が印象的でした。
報告会を開催した日は平日夕方ということもあり、比較的少人数の報告会ではありましたが、質疑応答では次回会合へむけて日本の市民社会がどのように参加すべきかなど、活発な意見が交わされました。 特に今回は、多くの学生に集っていただき、食料問題への関心の高さが伺われました
【参考資料(英語)】
第37回CFS 関連資料
http://www.fao.org/cfs/cfs-home/cfs-37/en/
CSOs/NGO 関連資料
http://cso4cfs.org/
「世界の食料不安の現状2011」
http://www.fao.org/publications/sofi/en/
ハイレベル専門家パネル (HLPE)報告書
http://www.fao.org/cfs/cfs-hlpe/en/
「土地、漁業及び森林の権利の責任あるガバナンスのための任意ガイドライン」についての経過報告と関連資料
http://www.fao.org/cfs/cfs-home/land-tenure/en/
